暗算力とかいう訳わかんない単語で調べていたらこんな記事に当たりました。
https://www.gizmodo.jp/2017/03/10-tips-to-improve-your-mental-math-ability.html
最初とか結構いいこと言っていたんですが後半からの誤訳というかむず痒い部分がありますね。
「3. 分数、小数のきまりを覚えておく」
While you’re at it, memorize your 1/n tables so you can quickly recall that 1/6 is 0.166, 1/3 is 0.333, and 3/4 is 0.75.
これが翻訳されると......
たとえば3/4=0.75、1/6=0.166...というように「1/n」を覚えておくと、定量的なデータを扱うビジネスシーンに限らず、バーゲンセールから飲み会の割り勘を計算する場面まで、わりと日常的に役立つかも知れません。
「1/6とか3/4をすぐ思い出せるように 1/n のテーブルを覚えよう」が近い訳になるでしょう。
おかしく見えるのは
3/4は1/n ではないのにそれっぽく言ってる点。
まあ今の状態でも3/4が1/nではないと解釈できなくもないので全然セーフ。
(「というように」と「『1/n』」の間に「、」が欲しかった......)
「5. 倍数を使いこなす」
いや、倍数ってなんやねんと思ったらこの小見出しの原文が
Squares Are Your Friends
平方数って単語が出てこなかったのね......
そもそも倍数は単独では使わず、(例 : 7の倍数)
かといって文中の倍数を平方数に直したらいいかというとそれも違ったはず。
7のフィボナッチ数って言葉聞いたことないでしょう?
同じように「7の平方数」という表現はないはず(多分ね)。
こういう時は大人しく「7の自乗」とか「7の二乗」と言いましょう。
アスラトのよくわかる補足
ここまでdisってきましたが、この計算方法はすごく強力で私もよく使います。
高校生の時にこの方法を思いついたおかげでパズドラリーダー倍率の計算がめちゃくちゃ速くなりました。
しかし原文でさえもなぜこれが強力なのか説明していないことが残念でなりません。
この計算法の最大の強みは
瞬間的に覚える数字が少ないこと。
極論を言えば暗算なんて頭の中で筆算すればできるじゃないですか。
しかし紙面上で筆算ができても、頭の中で2桁×2桁の計算ができない人が大多数でしょう。
理由はワーキングメモリー(作業記憶)が足らないから。
これらの暗算の手法っていかに脳の作業領域を使わずに処理するかが重要なんですよ。
確かに脳の作業領域が少ない方が速さは上がりますが、速さの向上が主な目的にはなりません。速さは副産物。
13×17を計算してみましょう。
筆算を使うなら、
1. 13と17を記憶する
2. 3*17=51を記憶する
3. 10*17=170を記憶し、13と17を忘却する
4. 51+170=221が答え。
このように必ず3つの数字を記憶しておく必要があります。
1番は紙に書いてあれば覚える必要がないよねとお思いのそこのあなた!
計算する時どっちがどっちに掛けているのか分からなくなってきませんでしたか?
私はなりますよ。そしてもう一回計算し直したり。え?ならない?ふーん
しかしこの方法を使うと
1. 13と17を記憶する
2. 平均値(15)と差/2(2)を記憶し、13と17を忘却する
3. 平均値の自乗(225)を記憶し,15を忘れる
4. 差/2の自乗(4)を記憶し、2を忘れる
5. 225-4=221が答え。
計算ステップが増加しますが、覚えておく数字は2つまでで大丈夫。
ポイントは平均値と差/2を一気に出すこととしっかりと平方数を暗記しておくことです。
6. 大まかな数字を出す
確かに原文にフェルミ推定のことがだいぶ書かれていますが、概算の例としてフェルミ推定を出しているのであって、主題は「概算でええよ」ってことなのでは。
細かいことですが。
7. 数字を"リフレーズ"と"リアレンジ"する
まずは43をわかりやすく40に言い換えます。(リフレーズ)
えぇ......
43→40がリフレーズではなく、計算規則を守って43→40+3にすることがリフレーズなのでは。
間違っているとは言えないけどさぁ。
後もうちょっと頑張って日本語使おうよ。
8. 答えが合えばそれでいい
小見出しの原文のタイトルは
Turn a Big Problem Into a Bunch of Small Ones
なのになぜこのタイトルに。
私がつけるとしたら「困難は分割せよ」か「因数分解を使おう」とかかなぁ。
9. 億単位の数字にも計算方法はある
(1)10の9乗÷10の5乗
(2)44÷4=11
(3)11×10(9乗-5乗)
指数が^を表すのが分からなかったのね......
まとめ
多分翻訳者の英語力は私とそう変わらないのだと思います。
ただ数学(算数)の素養が皆無だったことが明暗を分けたと。
そしてチェック体制が結構甘さかチェックする人の教養不足のせいでこの記事が出回ってしまったんでしょうね。
これで飯食ってけるんだから私の将来は明るいのかもしれないですな。
おまけ
僕以外に翻訳の結果に疑問を持つ人はいないのかと思ってこのサイトを見つけました。
結果を言うと他のサイトも見たけどあんまりいなさそう。
https://newspicks.com/news/2110726/
王道の、33×46や、27×23タイプの暗算方法が載ってないぞ。
(同じ数字の二桁)×(各桁を足すと10になる二桁)
または、
10の位か同じ数字で、1の位を足すと10になる二桁同士の掛け算、
の場合、答えの下二桁は下一桁同士の掛け算になり、百の位より上は、(同じ数字)×(もう一方の10の位+1)になります。
自慢気に暗算方法語ってる人がいましたが、これよりもっと大枠の、基本的なことを主張しているのでは?
あぁこいつ数学できないんだろうなって思ったら京都大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学ですって。
私の将来は暗いのかもしれない。
暗算を簡単にする10の方法 | ギズモード・ジャパン/原文